キクモ(2023/10、丹波地方)

探している花が見つからず、駐車地に向かって田園地帯を歩いていると、放棄水田がありました。登山靴を履いていたこともあり、あまり躊躇せずに少し足を踏み入れると、普段見ることのない植物がありました。キクモです。

 

【キクモ】(ゴマノハグサ科シソクサ属)

 

花はほぼ真上に向いていますが、何か形が崩れているような… と思って調べると、合弁花は上唇と下唇があって形が違うとのこと。たしかに内側に一部だけ毛が生えていいて、それが下唇ということですね。考えたら、ゴマノハグサ科なので、同じ科で知っている他の種もそんな構造か。

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このキクモというのは抽水状態でも普通に生育するようですが、抽水状態で付ける葉は形状が異なり、針のような葉が放射状に付くようで、それも見てみたいものです。

 


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その放棄水田にはタデの仲間やイヌノヒゲの仲間も見えたのですが、移動しようとすると… まずい、泥濘が少し深くなて、靴が抜けない… 冷静に藻掻いて、何とか被害なく脱出できましたが、日の傾いた放棄水田で、危うく泥人形になるところでした。仕方なく、他の植物の観察は諦め、泥だらけの靴にて車に戻る羽目になりました(靴の中は被害なし)。

 

 

ジンバイソウ(2023/9、滋賀県)

ジンバイソウの咲く場所を何ヶ所か知っていますが、今シーズンは既に終わりかけていたりタイミングが悪く、満足できる株に会えていませんでした。そんな中、何とか納得できる花を見ることができました。

 

ジンバイソウありました〜

この葉はまさしく、ジンバイソウ!
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不思議な生き物がたくさん乱舞しています。
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また来年以降も花を見せてください!
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オオマルバノホロシ(2023/9、滋賀県)

ここ数年間(見に行っていない年もありますが)見ることがなかったため、絶えてしまったと思っていたオオマルバノホロシですが、なんと今年はありました!狭い範囲だし見逃していたということは無いと思うので、たぶん復活ということになるのかな…

 

【オオマルバノホロシ】(大丸葉保呂之、ナス科ナス属、別名:オゼナス)

主に湿った原野環境に自生し、ツル状に伸びながら紫色の花を咲かせます。

 

過去にこの場所で見たときは小さな株ばかりでしたが、不思議なことに今年は大きいです。

 

久し振りに会えました!
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ヤマホロシも花弁が紫色ですが、オオマルバノホロシの方が濃いですね。花冠は少し反る程度で、ヤマホロシヒヨドリジョウゴと比べるとさほどでもありません。
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コンクリの崖を登るように這い上がり、頭上数メートルの見上げた先にも花がありました。スマホで花にピントを合わせるのは至難で、ボンヤリしていますが。
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この時期でもまだ暑い道路沿いの草むらには、ヒヨドリジョウゴも咲いていました。

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ヒヨドリジョウゴの花冠は、このようにほぼ真後ろまで反り返っています。
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モミジガサ(2023/9、福井県)

モミジガサは、今までは近づけない斜面に咲いているものばかりで、近づいて見たことがなかったのですが、ようやく近くで見られる機会がありました。

 

【モミジガサ】(紅葉傘、キク科コウモリソウ属)

山地の林内に生えます。シドケなどとも呼ばれ、東北などでは春に葉の展開前のものが最高の山菜として食べられているようです。

 

咲いているのを見つけましたが、やはり近づけない急斜面…。
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群生ではありませんが、近づける場所にも見つけました。ただし、立ち上がると1m近くあり、近づきすぎると今度は全体を写すことができません…

 

葉が半分以上切れ込み紅葉のような形状、また葉が展開する前は傘のように見えることからモミジガサとついたようです。
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似た名前でテバコモミジガサ、モミジハグマなどがあります。テバコモミジガサは、モミジガサより小柄で、葉裏の葉脈がくっきりしていることから区別できます。モミジハグマは、さらに小さく、また花の付き方が穂状であることから区別できます。

 

この沢には同じコウモリソウ属のタイミンガサ、ウスゲタマブキも咲いていますが、同じタイミングで咲くとは限りません。今回はどちらも蕾でした。

キノクニスズカケ(2023/9 紀伊半島)

まだ見ぬキノクニスズカケを探しに、紀伊半島南部に行ってきました。

 

早朝に家を出ましたが、高速代を一部ケチったりしたこともあり、現地滞在時間は余計に限られています。

 

第一目的はキノクニスズカケですが、いざ歩き回ると、他の植物にも気を取られてしまいました。

 

シチョウゲ
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カエデドコロ
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ヒオウギ
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ニガカシュウ

大株で、多数の花が付いています。
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ニガカシュウの花のアップ。
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ホドイモ

1個だけ離れて咲いていました。
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キイセンニンソウ?の葉

花はすでに終わってしまったようです。仲間のボタンヅルやセンニンソウはまだ咲いていました。
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葉柄に節があります。
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シソバウリクサ
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シタキソウ?の葉
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ナンキハナワラビかな…
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キノクニスズカケは見つからなかったものの、もうそろそろ帰路についたほうが良さそうな時間になってきました。車で移動を始めましたが、あと1ヶ所だけ探そうと歩いた林で、キノクニスズカケを見つけることができました。

 

【キノクニスズカケ】(紀の国鈴懸、オオバコ科クガイソウ属)

スズカケソウの仲間で、紀伊半島南部の限られた地域の林床に自生します。環境省の絶滅危惧II類指定です。仲間にスズカケソウ、トラノオスズカケ、イスミスズカケなどがありますが、何れも自生地の限られた希少種です。

 

やっと見つけたキノクニスズカケ。葉の光沢が目立ちます。
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比較的きれいな花のアップ。花穂の長さにもばらつきがあるようです。
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草むらに紛れた個体が多い中、全体の様子が分かる個体がありましたが、花つきはもう一歩。互生の葉の葉腋に一つずつ花穂が付きます。
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この花もきれいです。
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最後であまり時間を取れませんでしたが、もっと探したら良い個体が見つかったのかもしれません。個々の花の咲くタイミングのばらつきは大きそうですし、蕾もそれなりにあったので、まだしばらく見ることはできそうです。

タカネフタバラン(2023/8)

フタバランの中で、今まで見ることができていなかったタカネフタバラン、今シーズンようやく見ることができました。

 


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【タカネフタバラン】(高嶺双葉蘭、ラン科サカネラン属)

北海道、本州中部の冷温帯、亜寒帯の針葉樹林下に咲きます。花はミヤマフタバランに少し似ていますが、ミヤマフタバランにはある唇弁上部にある小さな裂片がないことで区別できます。

 

葉の主脈に沿って白っぽい線になっています。
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まだ上の方は蕾です。
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花をトリミング。
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参考までに、こちらが前月に写していたミヤマフタバラン。唇弁の基部に耳のような裂片が付いています。
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草体を横から見ました。葉の付く位置がかなり高いのもタカネフタバランの特徴です。
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実は今回花を見ることができたのは1株のみ。近くにいくつかの葉はありましたが、多くはありませんでした。
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今シーズンはこの数日後にコロナウィルスに感染してしまい、しばらく療養で外には出られませんでした。

アシタカカンアオイ(2023/7)

これまでは開花が始まる微妙な時期の訪問で、年によって開花を見ることができないことがありましたが、今年は1ヶ月ほど遅い時期の訪問になり、多数の開花した花を見ることができました。

 

早速見つけました。数少ない、真夏に開花するカンアオイです。
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少なくとも6連の花がありました。
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上手く撮れた気がします。
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典型的なアシタカカンアオイは、口環付近が黒っぽく、ブラックホールのようです。
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ここにも
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わずかに蕾もありました。
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別に期待した花は見ることができませんでしたが、アシタカカンアオイはたっぷり見ることができました。