サンインシロカネソウ(2024/4、近畿北部)

数年前に見つけたサンインシロカネソウの花園、今も健在だろうか… 晴れた昼過ぎの時間帯に現地に着くように向かいました。

 

ここは、垂直の崖にサンインシロカネソウとモミジチャルメルソウ、チャルメルソウが自生しています。前回同様に沢山のサンインシロカネソウが迎えてくれましたが、前回よりも開花している花が多く、また崖から少し離れた足下の花も増えた印象です。

 

【サンインシロカネソウ】(山陰白金草、キンポウゲ科シロカネソウ属)

近畿〜中国地方の日本海側の渓流沿いに自生します。福井以北の日本海側に咲く仲間のアズマシロカネソウと似ていますが、サンインシロカネソウは萼片の紅色の部分が基部に集まっています。多くのキンポウゲ科の花と同様に、ある程度以上の日照がないと花が開かないため、タイミングが悪いとがっかりすることになります。

 

 

辿り着いた崖の大群落は健在でした。崖の上から絶えず水滴が滴り落ちてくるので、近づいた撮影はしにくいですが…は
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俯いて咲くのが基本ですが、ラッキーなことに横向きで咲いている花がありました。
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このように、普通は俯いて咲きます。
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花が終わると、このような実になります。
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丁度よい時間帯だったと思います。
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4つも同時に咲いているのもありました。
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モミジチャルメルソウは咲き始め。
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こちらはチャルメルソウ。
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この日は暖かく、ここは沢状の地形で、ヒルが出る可能性があるかもしれないと警戒していましたが、見かけませんでした。

 

この上ない好天の中、自然の音だけを聞きながら飽きるまで撮影。感謝しながら帰路につきました。

 

 

キンシベボタンネコノメソウ、ヒメヒダボタン(2024/4)

同じ時期に何度も歩いているエリアですが、キンシベボタンネコノメソウがあることを知りませんでした。久しぶりにキンシベボタンネコノメソウを観察しました。

 

【キンシベボタンネコノメソウ】(ユキノシタ科ネコノメソウ属)

萼片は淡緑色でほとんど開かず、雄しべは黄色で萼片の2/3くらいの長さです。


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そして、このキンシベボタンネコノメソウに非常に似ているのがヒメヒダボタンです。場所は異なりますが、今年も観察してきました。

 

【ヒメヒダボタン】(ユキノシタ科ネコノメソウ属)

萼片は淡緑色でほとんど開かず、雄しべは黄色で萼片と同じくらいの長さです。

 


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花を拡大してみます。

左がキンシベボタンネコノメソウ、右がヒメヒダボタンです。キンシベボタンネコノメソウの方が雄しべが短いというのが、何となく分かるか…


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チャルメルソウを見つけて撮影しようと思って試行錯誤していたら… まだ4月の前半だというのに、靴に大きなヤマビルが!被害はありませんでしたが、そういえば、数年前もこの沢で同じ時期に同じようなことがあったことを思い出しました。

 

 

テリハタチツボスミレ(2024/4、福井県)

テリハタチツボスミレの様子を見に行ってきました。

 

【テリハタチツボスミレ】(照葉立坪菫、スミレ科スミレ属)

日本海側、青森県から福井県の多雪地帯の低山に分布します。花はタチツボスミレに似ていますが、葉が厚く光沢がある点が大きな特徴です。

 

キョロキョロしながら登ってしばらく、見つけました。全体的には咲き始めの印象で、蕾もありましたが、咲いている花は綺麗な状態でした。
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この個体は、淡い紫で花弁の付け根付近の色が濃いですね。陽が当たっていたら良かったのですが、日陰で残念。
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距はぼってりしています。
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蕾。もう少しで開花しそうですが、今日は開花せず残念。テカテカ光る葉っぱが主張しているので、かなり目につきます。
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この個体は、花弁の色がかなり薄いです。
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首を傾げているみたいです。
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目的達成、山の上から海と山の景色も堪能して、早いうちに下山しました。

 

少し前から左足の付け根の筋(?)に痛みが出るようになりました。花の探索にいい時期になってきたところですが、回復を優先させた方が良いかな…

ムサシアブミ(2024/3、高知県)

家族で四国に旅行に行ってきました。今回の旅行は途中で幾つかのトラブルがあって、反省もあったり事後対応の必要なものもあるのですが、ここでは植物の話を。

 

トサコバイモ、モモイロカンアオイなどを観察できることを目論んでいましたが、目的は達成できず… まだ時期的に花も少ない中、ほぼ唯一と言って良い、ムサシアブミだけは沢山観察できました。

 

ムサシアブミは、テンナンショウの仲間で、テンナンショウの仲間自体が特異な形状をしていますが、ムサシアブミはその中で更に変わっています。

 


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【ムサシアブミ】(武蔵鐙、サトイモ科テンナンショウ属)

暖地の、主に海岸に近い林内に生えます。葉は3裂、3裂するのはテンナンショウ属ではムサシアブミとミツバテンナンショウのみ。ハンゲ属のオオハンゲの葉も似ています。花は仏炎苞の舷部が内側に巻き込まれ、手にグローブを付けてグーの形を作り、手首を前傾させたような形、でしょうか。この形状を、品質の良い鐙(馬に乗る際に足を置くための馬具)の代名詞だった武蔵鐙に擬えて付けた名前のようです。

 

こちらの地方では特に珍しいわけではなさそうですが、私の住んでいる地域では気軽に見ることはできません。

 

非常にグロテスクな姿です。
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3裂した小葉の先が針のように尖っています。
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舷部は内側に巻き込みますが、再度外側に巻いています。不思議な構造。
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仏炎苞の中に、白い棒状の花序の先端が見えます。仏炎苞を返して中を観察もできましたが、その姿からか触れませんでした。

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開花前の姿。大きくなる葉もコンパクトに収納されています。
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結構な大株がありました。グロテスクながらも、ついつい写してしまいます。
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今回は制約も大きいのでこれくらいですが、またこちらに来れる機会に期待したいと思います。

 

この植物は…?

ここは、そのうちに歩いてみようと思っていた場所ですが、縁があって今回歩いてみました。

 

歩いてみると、この地方では比較的よく見かけるシタキソウの葉をたくさん見かけました。

 

シタキソウ

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やがて、気になるカンアオイの葉が登場。葉が丸っぽいのでヒメカンアオイかとも思いましたが、近くで他に見つけた大きな葉を見ると、先が尖っていて、違いそうです。アツミカンアオイとも違いますね。残念ながら何れも花を付けていないので、別の時期に再訪の必要がありそうです。


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そして、今回、偶然に見つけたのは… これです。


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ランの仲間だと思いますが、少し調べた感じではカゲロウランか?近くにはこれ以外見当たりませんでしたが、そういう目で歩いていなかったので、ルート上に他にもあったのかもしれません。花が見られるかもしれない初秋の時期に、忘れずに確認しなければ。

 

思いがけず未見(仮)の種に出会えて、来シーズンの楽しみが一つ増えました。

 

 

 

 

ノノボリカンアオイ(2023/12〜2024/2、三重県)

今ではシーズン中に数回観察することも普通になったノノボリカンアオイですが、年が明けてからは、観察に行こうとする度に直前に積雪があり、なかなか予定通りに観察できませんでした。

 

1回目の訪問。


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去年も花が2つ付いていた個体ですが、今年も引き続き2つ。
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2回目の訪問。最初はうっすらと雪がありましたが、時間とともに解けていきました。

 


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数年来、素心の花を付けている個体も、開花しました。
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ノノボリカンアオイにしては萼片の赤みの強い個体。
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3回目は、現地にて積雪が多く当日に解ける気がしなかったため、観察断念…

 

4回目の訪問。ようやくまた雪のない状態で観察できました。

 


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葉から離れた場所にも花が2つ。同じ株じゃないか…
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これも、近くに葉はありません。
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きれいに葉が残っている個体。しかも花が2つ♪
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ノノボリカンアオイの今シーズンの観察は、以上とします(多分)。

 

 

チゴカンアオイ(2024/1、伊豆方面)

今シーズンは、新たにチゴカンアオイ探索にチャレンジし、無事に見つけることができました。

 

チゴカンアオイは、伊豆半島に自生するヒメカンアオイの仲間で、夏咲きと秋咲きがあるようです。

 

咲いているエリアはもう少し先との予想でしたが、思ったより早くカンアオイの葉が見つかりました。これはまだ小さく、花を付ける感じではないですが、探索エリアとしては間違っていなさそうです。
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近くを少し探すと、花を付けた株が見つかりました。これがチゴカンアオイと思われます。
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広葉樹の落ち葉に埋もれて咲いています。
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いい感じに斑の入った葉がありました。今回見た中では大きめの葉、長さ6センチ弱。
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進んでいくと、チゴカンアオイの花を幾つも見ることができました。
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萼片はほぼ水平、個体により先が少し反り返るものがあるようです。
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口環大きめ、花柱は口環近くに達しています。
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花が3つ(^o^)
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アップ(^o^)
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こっちも(^o^)
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観察を終えて移動すると、雲の上に浮かぶ富士の姿が見えました。朝は雲に覆われていましたが、いい天気になりました。
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